| ＜渡名喜 その２＞ ６日間降り続いた雨も止み、雲が多いながらも１週間ぶりに太陽が姿を見せる。太陽が見えただけでも心が浮き立ち、気持ちが元気になる。太陽のなんと有り難いことか。折角の太陽を無駄にしないためにも朝食をいただきチェックアウト後、さっそく散策。渡名喜港出港まで１時間50分。島の北側を歩く。天まで昇ってしまうのかと思えるほどに延々続く階段を昇っていくと西森園地展望台。島の北端・ワタンジ崎とシドの崎を眼下に、遠方には一昨年訪れた粟国島がはっきり見える。西方に目を向けると入砂島とその向こう、遠方に久米島。振り返って南方を見れば、あがり浜、マンホールの蓋にもデザインされている義中山や最高峰の大岳、展望台のある大本田、最東端のヲモの崎まで島のほぼ全景を見ることができる。360度、どこをとっても美しい風景。陽の光を受けて美しさが際立つようである。西森園地展望台の西側を行くサカシ散策道。小さくも色鮮やかな花が咲き、数種の鳥たちがさえずる道を歩いていく。展望台からはわずかしか見えなかったワタンジ崎が全貌を現わし、入砂島がよりはっきりと見える。入砂島は平成13年のＮＨＫ連続テレビ小説「ちゅらさん」のオープニングで映し出された珊瑚礁と白砂の美しい島。米軍の射爆場として使用されているため、上陸はもちろん、近づくことすらもできないのは非常に悲しいことであるが、遠方から眺める姿は18年前の映像と変わらず美しい。集落に戻り出港までの残り時間、もう少し集落内を歩く。赤瓦の古民家を見ていくと、その半数近くには屋根の正面中央にシーサーが据えられている。一体一体顔や表情、体形、格好などが異なっているのが面白い。集落の細い道を歩きながらシーサーたちを探していくとあっという間に出港時間が近づく。旅の最後に素晴らしい風景と貴重な体験をさせてくれた渡名喜島に感謝。   |
＜那覇 その２＞ 美しき渡名喜島を後にして、フェリーで那覇の泊港へ戻る。往きとは別の新しく大きな型のフェリー。乗船客は少なく、波穏やかで揺れもほとんどない快適な船旅。 泊港到着後、多少の時間があったため旧崇元寺石門を訪ねる。沖縄戦で木造建築物の全てが焼失し、石門のみが残っているのだという。高さ５ｍほどに積み上げられた石塀が長さ100ｍほど連なり、中央に３連アーチ、両隅に１つずつのアーチ状の開口がある。厚さも約２ｍ、隙間なく整然と積まれた石に往時の寺院建築の壮麗さを想像する。説明文には歴代国王の神位を安置し国宝とされていたと記される。実に勿体ないことである。文化財を理解しない米軍と沖縄を捨て石とした日本政府によって失われた数多くの貴重なものを象徴する遺構の一つであろう。愚行を繰り返さないため多くの人が見るべきものではないだろうか。そして、沖縄と日本本土が永遠に良好な関係を保ち続けるよう尽力しなければならないことを改めて思う。 ６泊７日の今回の旅、雨と風に祟られ続けた旅ではあったが、肝心なところでは不思議と雨だけは収まってくれたこと、最終日の晴天で素晴らしい風景を見せてくれたことで全てのモヤモヤが吹き飛んでいった気がする。良い旅をさせてもらえたことに感謝。 ＜おまけ＞ Dr．コトー診療所 離島医療の過酷な状況と人間関係を情緒豊かに描いた漫画。後に与那国島を舞台にドラマ化された。 人頭税 納税能力に関係なく全ての対象者一人につき一定額を課す税金。 ちゅらさん 平成13年度上半期のNHK連続テレビ小説。沖縄と東京を舞台にヒロインの成長物語を中心とした群像劇。 以上、美しい風景、素晴らしい体験を味わせてくれた沖縄７日間、生涯忘れえぬ思い出となる素敵な旅でした。いつもの如く行程表と経費内訳を参考にどうぞ。今回も飛行機代が経費の半分以上を占めています。 |
